日本顕微鏡歯科学会 2021年 サマーセミナー


 2021年8月22日 第15回日本顕微鏡歯科学会シーズンズセミナー( サマーセミナー)がwebで開催されました。
今回のセミナーは、"他人の著作物の利用について" というテーマで、この分野に明るい九州大学大学院芸術工学研究院 コンテンツ・クリエーティブデザイン部門准教授の麻生 典先生にご講演いただきました。

 事前に150名弱の登録があり、当日のLIVE配信では日曜日の午前中であるにもかかわらず多くの歯科医師・衛生士が視聴する中、渉外広報担当理事である司会進行役の三橋晃副会長の元、北村和夫会長のご挨拶を皮切りにセミナーが始まりました。

 麻生先生による講演の前半は、著作権について基本的に知っておかなければならないことを明瞭に説明していただき、後半は今回のサマーセミナーに参加した先生方が知りたかった「引用や転載」についてのお話がありました。身内でのスタディーグループなどで発表をされる先生はもちろん、学会での発表や業者主催のセミナーなどで発表をされる先生が多い中、他人の論文を自分のスライドに載せていいのか?論文の図表を複製していいのか?などさまざまな疑問の中で、「引用・転載」についてわかりやすく説明していただきました。

 引用は、著作権の侵害には当たらないが、①明瞭区別(引用した部分がわかる)ということ、と②主従関係(引用した部分が全体において本文より少ないこと)の2つが成立している必要があるということを学びました。

 また、転載とは、引用を超えている、つまり著作権法に違法であることを言うので著作権法においては転載という概念はないということでした。引用と転載の違いもよくわからなかったのでまさに目に鱗の内容でした。

 今回のセミナーに先立って、セミナー企画の段階であがっていた事前質問にも講演内で明確に答えていただき、麻生先生の講演は終了しました。

 5分間の休憩の後、三橋晃先生を座長としてセミナーの後半部分のディスカッションを開始しました。パネリストに日本大学松戸歯学部附属病院マイクロスコープ特診外来臨床教授の辻本恭久先生、澤田デンタルオフィス院長、東京医科歯科大学非常勤講師の澤田則宏先生をお迎えしました。まずは澤田先生が普段ご自身の講演会やセミナーで使われているスライドを具体的に示していただきながら著作権法上問題があるかどうかを麻生先生に問うような形で討論が進んで行きました。前半の麻生先生の講演を聞いた後ですと問題があるか無いかがわかるようになり、さらに具体例を示してのディスカッションなのでより一層理解が深まりました。続いて辻本先生から、海外の論文の引用について質問がありました。外国論文を引用して日本で発表をする場合と日本人がそれを海外で発表する場合について、webで講演する場合の対応など具体例をもとに1つ1つ丁寧に麻生先生にお答えいただきました。

 最後に学会理事水川が閉会の辞と今後のセミナーの紹介をして盛会のうちに終了いたしました。 
 受講された先生からは多くの質問が寄せられました。時間の関係で全てを紹介することができませんでしたが、セミナー終了後、麻生先生のご厚意で全ての質問に回答していただき、当日申し込みのあったすべての受講者に質問の回答を後日メールで配信することができました。

 今回のセミナーで不透明だった部分がクリアなりました。受講された先生方にも満足いただけたのでは無いでしょうか?

(文責:北綾瀬歯科クリニック 水川 悟)

 

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